“甘さ”を見分ける分子カプセル
―水中で糖分子 スクロースの選択的な包み込みに成功―

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の山科雅裕博士研究員と吉沢道人准教授らは、同グループが開発した分子カプセルが、水中で天然の種々の糖の中から、砂糖の主成分であるスクロースだけを選び、その内部に包み込めることを発見した。また、その内包力はスクロースより人工甘味料(アスパルテームなど)の方が高く、人間の甘味感度と同じ順序であることが分かった。分子カプセルによる初の天然および人工の糖分子の選択的な内包を達成した研究成果であり、生体内の“甘さ”を識別する受容タンパク質(レセプター)の機構解明や新たな“甘さ”分子の合成研究への展開が期待される。

糖類(単糖や二糖など)は複数の水酸基を持つため、水に溶解した際、水分子と多点の水素結合を形成する。そのため他の生体分子に比べて、水中で糖構造を識別することは困難である。これまで人工的な糖レセプターの開発は行われてきたが、その大部分は有機溶媒中に限られ、水中での糖分子の高選択的な内包は達成されていない。本研究では、これまで着目されていない、分子カプセルの持つ「芳香環に囲まれたナノ空間」を利用することで、水中で二糖のスクロースを効率的に内包できることを見出した。その選択性は優れており、天然の他の二糖の混合物中から甘さの強いスクロースのみを内包した。さらに、天然と人工の糖分子に対する内包の競争実験から、人の甘さの感度と同じく、スクラロース>アスパルテーム(ともに人工甘味料)>スクロースの順で分子カプセルに強く内包されることが明らかになった。

これらの研究成果は、京都大学 大学院理学研究科の林重彦教授のグループ(計算化学)との共同研究によるもので、米国科学振興協会(AAAS)のScience Advances誌に、2017年8月25日14時(米国東海岸時間)付けで掲載された。

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化学生命科学研究所
穐田・吉沢研究室