複数の金属からなる新たな電子化物を発見

イオン結晶は、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)が結びつき、構成されている。マイナスの電荷をもつ電子は、究極のアニオンと言える。電子がアニオンの役割を担う物質は電子化物(エレクトライド)と呼ばれている。1983年に有機化合物で最初の電子化物が合成され、新概念の物質として注目を集め、教科書類にも記載されることになった。しかし、この物質は、化学的・熱的に不安定なために物性については不明な点が多かった。
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の細野秀雄教授・元素戦略研究センター長を中心にしたグループは2003年、12CaO・7Al2O3(C12A7※セメントの構成成分)を使って、室温・空気中で安定なエレクトライドの合成に初めて成功。アニオンを電子に置き換えたことに起因する低仕事関数だが化学的に安定というユニークな物性を報告してきた。2011年には電子化物ガラスを、2013年にはアニオン電子が層間に存在する2次元電子化物Ca2Nを報告するなど、電子化物の物質科学の新領域を開拓してきた。本研究では、電子化物のコンセプトをさらに拡張すべく、金属元素から構成される金属間化合物を対象に、結晶構造と電子分布の関係を検討して、電子化物とみなせる物質群の発見と、それらがアンモニア合成触媒や超伝導という物性の発現につながることを見出した。今回の成果は、7月31日発行の「Advanced Material」、8月14日発行の「Angew. Chem. Int. Ed」、8月15日発行の「npj Quantum Materials」に掲載された。

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フロンティア材料研究所
元素戦略研究センター
細野・神谷・平松・片瀬研究室