複雑なピーナッツ型分子の作製に初成功

科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉沢道人准教授と山梨大学 工学部の矢崎晃平特任助教らは、ピーナッツの種と殻が作る複雑な立体構造である「コアシェル構造」を再現するため、新たに合成した有機分子と金属イオンを集合させる方法で、ナノメートルサイズのピーナッツ型分子の合成に初めて成功した。複雑なナノ構造体を簡便かつ精密に作製する新手法として、今後の研究展開が期待される。

植物は、花や果実、種子などの複雑な立体構造をいとも簡単に作り出している。例えばピーナッツは、ダンベル型の殻(から)の内部に2つの種(たね)を含むユニークな階層構造を持つ。しかし、自然界に存在するこのような複雑なかたちを人工的に化学合成した例はない。本研究では、新たな合成戦略によるピーナッツ型分子の作製に挑戦した。まず、3つの金属結合部位を有する“W”字の形をした有機分子を新規に合成した。このW型分子と金属イオンは溶液の中で、「配位結合」を駆動力として自発的に集合し、分子ダブルカプセルを定量的に形成した。このダブルカプセルは、2つのナノ空間(約1ナノメートル)を持つ。次に、この溶液にフラーレンC60を添加することで、「π-スタッキング相互作用」を駆動力として、中央の金属イオンの脱離を伴い、2つのフラーレンを内包したピーナッツ型構造体が定量的に生成した。また、他のフラーレン誘導体を用いた場合もピーナッツ型分子が得られた。すなわち、性質の異なる2種類の化学結合を組み合わせることで、複雑な植物構造体を模倣合成する新手法を開発した。

これらの成果は、インド工科大学マドラス校のDillip K. Chand教授、株式会社リガクとの共同研究によるもので、英国科学誌Nature Publishing Groupの「Nature Communications」のオンライン版に、2017年6月28日付けで掲載された。

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穐田・吉沢研究室