植物のエピジェネティクス変化をリアルタイムに捉えることに成功
―マウスの抗体の一部が生きた植物細胞内でも抗原を認識した―

東京理科大学 理工学部 応用生物科学科 松永幸大教授、坂本卓也助教、栗田和貴大学院生、理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム 関原明チームリーダー、ケミカルゲノミクス研究グループ 吉田稔グループディレクター、東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 木村宏教授らの研究グループは、マウスの抗体の一部を植物細胞において発現させることで、植物のエピジェネティクス変化を生きたまま解析する方法の開発に成功しました。

植物のエピジェネティクス変化を解析するためには、生化学的手法や免疫染色法がありました。いずれの方法も、エピジェネティクス変化の代表的な指標であるヒストン修飾を認識する抗体を使用しますが、生きた植物で解析することはできませんでした。

今回、本研究グループは、マウスで作成された抗体の一部に蛍光タンパク質を結合させた細胞内抗体(ミントボディ)を、タバコ培養細胞で発現させました。このミントボディに用いた抗体はヒストン修飾の1つであるアセチル化リジン残基を認識します。このミントボディの動態をライブセルイメージング、阻害剤実験、生化学実験を用いて解析しました。その結果、このミントボディは生きた植物細胞内でヒストンのアセチル化リジン残基を正常に認識していることが明らかになりました。これは、マウス由来のミントボディが植物細胞内で正常に働いたことを初めて示した報告になります。抗体を持たない植物細胞内において正常に抗体の一部が作られ、ヒストン修飾を認識したことは、新たな植物細胞研究のツールを開発したといえます。

本成果により、時間軸を考えながら植物のエピジェネティクス変化を解析することが可能になり、エピジェネティクスにより制御される植物の環境応答や環境記憶メカニズム解明が進展することが期待されます。また動物の抗体の一部を植物細胞で発現させて、生化学や細胞生物学的な研究を行うことが可能になり、植物科学や農学研究に大きく貢献することが期待されます。

本研究成果は2017年4月18日号のネイチャー出版の科学雑誌Scientific Reportsに掲載されました。

詳しくはicon_site東工大ニュースをご覧ください。

細胞制御工学研究センター