脱ユビキチン化酵素の基質特異性を改変することに成功
―複雑なタンパク質の制御機構の一端を解明―

東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニットの川口紘平大学院生(博士後期課程)と駒田雅之教授らは、ヒト細胞の機能を制御する酵素タンパク質「USP25」が特定の基質のみに働く仕組み(基質特異性)の獲得機構を解明、その基質特異性を改変することに成功した。

ユビキチンは、自身のリジン残基を介してつながりユビキチン鎖を形成、細胞内の様々な標的タンパク質と結合し、それらの機能を制御する。この時、ユビキチン鎖がユビキチンの48番目のリジン(Lys48)と63番目のリジン(Lys63)のどちらを介して連結するかで、標的となるタンパク質は異なる制御を受ける。一方、このユビキチン化によるタンパク質制御は、脱ユビキチン化酵素が標的タンパク質に結合したユビキチン鎖を切断することで解除される。

今回の研究では、脱ユビキチン化酵素の1つ「USP25」が、ユビキチンと結合するための配列であるUIMを介してLys48連結ユビキチン鎖に選択的に結合することで、Lys48連結ユビキチン鎖を選択的に切断することを解明した。また、このUIMをLys63連結ユビキチン鎖に結合できるように改変したところ、Lys63連結ユビキチン鎖を切断することに成功した。つまりUSP25の基質特異性を改変させることができた。

今回の成果は、ユビキチン化による複雑なタンパク質制御機構の一端を解明するもので、ヒト細胞の制御機構の分子基盤の理解に結びつく重要な生物学上の知見と言える。

3月22日付けの国際科学誌『Scientific Reports』にオンライン掲載された。

詳しくはicon_site東工大ニュースをご覧ください。

駒田研究室
細胞制御工学研究ユニット