葉緑体機能の制御に重要な新たな還元力伝達経路
―二つの経路の協調が光合成や生育に必須―

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉田啓亮助教と久堀徹教授は、植物細胞内の機能制御に重要な還元力伝達経路として、これまで知られていたもののほかに、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を起点とする経路が重要な役割を担っていることを発見した。

光合成の場である植物の葉緑体には、酸化力や還元力が酵素タンパク質に伝達され、タンパク質自体を酸化あるいは還元することによってその機能を調節するシステムがある。これまでは、光合成電子伝達系から電子を受け取るフェレドキシンというタンパク質を起点とする還元力伝達経路がその主要経路であると考えられていた。吉田助教らは、これ以外にNADPHを起点とする還元力伝達経路が重要な役割を担っており、この二つの経路が協調して機能することが、植物の光合成や生育そのものに必須であることを明らかにした。

光合成反応は地球上最大の規模で行われる光エネルギー-化学エネルギー変換反応であり、植物による物質生産のかなめである。絶え間なく変動する自然環境の下で植物が効率よく安定して光合成反応を維持していくために、葉緑体の生理機能は柔軟に、そして精密に調節されている。

今回の研究成果は、この調節に重要な酸化力と還元力の伝達による葉緑体機能調節のネットワークを新たに解明したもので、光合成生物を用いた物質生産など、今後の応用研究への展開にも有効な重要な知見である。6月22日(現地時間)発行の「米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」電子版に掲載された。

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